大晦日の花火

帰省したり、家族と一緒に静かに年越しをすることが多い日本と異なり、欧米の大晦日は親しい人たちとパーティをして盛り上がる日。

ここドイツも例外ではなく、どこかの家や街の広場に集まっては酒を飲み、語り、カウントダウンの後に乾杯し、抱き合ったりキスをしながら新年を祝う。12時を過ぎたら帰宅する人もいれば朝の5時頃まで飲み続ける人もいる。

新年と同時に打ち上げられる花火や爆竹は、もうそれはうるさく、熟睡していても目が覚めるほどだ。

こちらで使われる花火は、夏に日本の各家庭で楽しむような、線香花火やシュワーっと色とりどりの火を噴き出す花火ではなく、ロケット花火や30連発以上するような本格的な打ち上げ花火。

だからとにかく音がすごい。そして煙もハンパない

ミーが初めてドイツで新年を迎えたのは、ミュンヘンから車で30分ほど離れた小さな村だったのだが、この村のどこにそんなに子供がいるの?と言いたくなるくらいの子供たちが小高い丘に集まり、約30分間民家のない畑や草原に向かって花火を打ち上げていた。

2回目の新年は、1回目の村よりもやや大きめの200世帯ぐらいある村で迎えたのだが、そこは村の中心地にグリューワイン(スパイスやオレンジと暖めたワイン)のスタンドと音楽が用意され、若者は各々で準備した花火を持ちより新年を皆で祝った。ミーとミスターはその村の住民ではなかったが、親戚を通して知人もいたし、都心のパーティほど混んでもいなかったので、それなりに酔っ払って楽しい時間を過ごしたものだ。

橋の手すりに置かれたままのボトルや花火のゴミ
橋の手すりに置かれたままのボトルや花火のゴミ

2013年にドイツへ移住し一軒家を建てて住んでからは、自宅や旅行先で新年を迎えるようになった。ミニーズたちも大きくなってきたので、子供用の花火を用意した時もあったのだが、去年ぐらいから『新年の花火は控えましょう』という風潮になってきた。

『花火による煙が環境に良くない』というのが理由だ。

確かに花火による煙はもの凄く、小さな手持ち花火でも、品質があまり良くないせいか、煙の量がとにかく多い。打ち上げ花火ともなれば、一面が煙で覆われる。それを各家庭が行ったら確かに大晦日だけで相当量の二酸化炭素になるだろう。

でも煙による大気汚染よりもミーがずっと気になって仕方がなかったのは、花火やパーティによるゴミだった。

チリ1つ落ちてないイメージのドイツだが、新年の朝はゴミの国と化する、と言っても過言ではない。

やり終わった後の花火の筒やパッケージ、飲み明かした酒のボトルや煙草の吸い殻。
散らばった食べ物とその包装紙やプラスチック。ありとあらゆるゴミが、通りや広場、家の前や裏に溢れている。皆、自分の家の周りだけは片付けるが、そうでない所はしばらく放置されたまま、2週間以上そのままなんて普通だ。

誰が片付けるって、市の清掃員である。

その作業が遅くて時間がかかるので、ゴミが放置されたまま風で畑や草っ原に飛んでいってしまうこともある。農家の人はそれを拾うことなく、風化したゴミは春に耕運機で土と混ざり合う。人はその土で育った大豆やトウモロコシ、家畜用の餌を作っているのだ。

集めたゴミだって相当な量だと想像できる。

自分たちでゴミを片付けないのだから、いっそのこと各家庭の花火なんて禁止にした方が良い。

新年の瞬間を楽しく過ごすのに花火は必須ではないのだから。

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