カナ、自転車嫌いになる
小さいころからスポーツ万能の人生を歩んできた長女カナ。
日本の保育園の運動会がデビュー戦!2歳児グループの50メートル走において、華々しく1位を飾ると、その後転園した幼稚園のリレーでも、2位との差をズーンと広げ首位でゴール。
運動神経の良さはドイツに移住した後も健在で、ドイツ人と比較して頭1つ分小さいというハンディがあるにも関わらず、短距離走や走り幅跳び、スイミングなどを卒なくこなし、スポーツトレーナーや学校の先生にもよく褒められている。
そんなカナ。7歳を過ぎた頃から、妙にダラダラと自転車をこぐようになった。
かったるそうに、いかにも興味なさそうに、無理やりやらされているかのように・・・。
変化の原因は、そう、末っ子ファビアン。
長女カナと2歳違いの彼は、カナからお下がりの18インチの自転車を引き継いだ途端、自転車ツアーに出るやいなやカナと同じくらい速く走れるようになったのだ!
それまでは16インチの自転車だったので、20インチのに乗るカナと張り合うのが難しかったのである。
ファビアンは家族で出かける自転車ツアーでも、近所への買い物でも、常に一番前で走行することに燃え、根性で彼女に並んだ。
そしてこれに腹を立てたのがカナ。
彼女にしてみたら弟にかる~く追いつかれ、追い越されててしまった想定外の出来事である。
なにもそんな一番前を走行することに、パワーをつぎ込まなくてもいいんじゃないか、と思うミーには理解できない子供間のバトル。制したのは負けず嫌いであきらめない(あきらめの悪い?)ファビアンだった。
勝敗がつくや否や、長女カナは自転車への興味を一気に失っていった。
彼女にしてみれば、子供にはタフなアップダウンで長距離なコースだったとしても、5歳の弟が同じことをこなすことにより、その称賛は半減してしまう。
こうしてカナは、自転車というアクティビティ自体に拒否反応を示すようになり、どこに連れ出すにも、
「自転車では行かないっ!」「私は行かない!」
と、かたくなな態度をとるほど毛嫌いするようになってしまった。