おなら
空手のトレーニングから帰ってきた後の数分の間に、もうケンカを始めた我が家のミニーズ。
家じゅうに怒号が響き渡る。
見ると末っ子ファビアンは顔を真っ赤にして、半泣き状態で空手道着を着替える途中で脱いだズボンを手に持ち、長女カナを力いっぱいバシバシっとはたいている。
絶叫しながらそれを牽制するカナ。
ホントにもう毎度毎度のケンカにはウンザリさせられる。
「うるっさい!外でやりなさい!」
と放り出せたらどんなに楽だろう。
だがケンカの原因や経緯を曖昧に放置することは、悪くない方にとっては世の不条理を親みずからが教授してしまうようなもの。
そんなこんなが短く頭をよぎり、ケンカの仲裁を行うことになる。
「そもそもの原因は何?始めたのは誰?先に手を出したのは?」
といった事を聞き出し、多くの場合2人の言い分は異なるのだが、何が悪かったかを検証し、次に活かせるよう説いてケンカを締める。
これも多くの場合、功をなさないのであるのだが。
聞くと、今回のケンカの原因は、なんと
『おなら』
だった。まずカナが口を切った。
「おならを2回したんだけど、それをファビが3回こいた!っていうの」
「3回したんだよ!」
「してない!2回だけ」
「やったもん!」
「やってない!」
・・・・・・・・・
そしてファビアンが空手道着のズボンでカナをはたき始め、カナは絶叫しながら脚で牽制し、その脚が当たってファビは半泣きでエスカレートし・・・となったという事。
だが、そもそもケンカの原因がどうでもよすぎる。
ものスゴく臭いのをわざと顔の近くでコカれたのならともかく、普通のを2発や3発したところで、1発の違いでそんなにケンカする必要があるだろうか?バカバカしい。
そう言って大笑いしたミーにつられて、カナも笑い出した。
ファビはというと笑いを必死にこらえながらムキになり、まだ回数にこだわっている。
「でもホントに3回だったんだよ!」
「2回だよ、2回(笑)」
「3回!(怒)」
「カナは自分でやったんだからの分かるの!3回!」
するとファビアンは、
「でもファビは見たんだよぉ!」
と言い放った。
「え?・・・見たの?聞いたんじゃなくて?」
「うん、見えたんだよっ!」
「なに?なに?色でも付いてた?んー、おならは・・・、見えないよねぇ(爆笑)」と言うと、
「パンツがね、おしりからおならが出てきてね、3回ちゃんと浮いたんだもんっ!」
これがトドメの一言となり、私はあくまで2回と言い続けるカナを制し、本当は3回だった、ということでケンカを落ち着かせた。
こんなことで本気のケンカする子供って、パワフルだ。
エネルギーの浪費が半端ない、とミーは思ったのだった。