『讃岐うどん』にバンザイ!

リニューアルした近所のスーパー『Edeka』(エデカと読む)。フランチャイズでドイツのどんな小さな村にでもある。他のスーパーよりお値段はやや高めな割に、野菜や果物が新鮮ではないことが多いのが欠点だが、品揃えは多く、例えばサワークリームは○○会社の○○という商品が好き!というこだわりがあったとして、Edekaに行けばだいたい手に入るのである。

リニューアル後に広くなり商品の置き場が変わった店内を、ミーは時間をかけながらじっくり見て回った。

そしてなんと、生の『讃岐うどん』を見つけたのだ!

思わず、えーーー!っと声を上げ、あまりの嬉しさにニタニタ微笑んでしまったが、周りに誰もいなかったので、そのまま嬉しさを隠すことなく、商品を手にしばし喜びに浸った。他国のコピー商品ではなく日本の讃岐うどん!

『うどん』なんて中力粉と薄力粉と水さえあれば異国の地にいても簡単に作れるのだが、かと言って「さあ作ろう!」と腰が上がることはなかなかない。

そもそも日本で『うどん』を食べていたのは、食事を簡単に済ませたい時が主だったので、わざわざ時間をかけて手作りの麺をこしらえること自体、面倒で億劫なのだ。それでも見つけた『讃岐うどん』の値段がべらぼうに高かったりしたら、面倒さを超えて自分で作ったかもしれない。でも生麺が4パック入りで5ユーロ(約600円)ならば、これは『即買い』である。

うどんのパッケージを見た我が家のミニーズたちは、それはもう踊って喜んだ。

日本に帰省した時にはラーメンやうどんを必ず食べていたので、ある意味、彼らの麺に対する舌は肥えている。

さてどうやって出汁を作ろうかと考えていたら、ミーの父親からもらった カツオ節の残りを思い出した。自分で削って食べるタイプの カツオ節を一本もらったのだが、小さくなってくると削るのが危なっかしくなり、そのまま冷蔵庫に放置していたら石のように堅くなり、削れなくなってしまったのだ。ミーはその堅くなったもう手では削れない カツオ節の塊をそのまま鍋の中に入れ、高温にならないようゆっくり時間をかけて煮た。周りが柔らかくなってきたら包丁で切り刻み、堅い部分をまた湯に戻すというのを何回か繰り返し、やっと全部切り刻み終わった頃には、なんとも良いお味のスープが出来上がった。

ネギとほうれん草を入れ、お醤油少々と自家製の梅干を加えてみたら、これがなかなか五感に染み込むような、各素材の風味が引き出された美味なスープになったのだ。ミスターとミニーズにも大好評で、あっという間に麺を食べスープも飲み干し、「あ゛~~、おいしかった・・・」と腹の底から絞り出すような声で皆つぶやいた。ドイツではなかなか味わえない類いの食事の余韻に浸ったのである。

カツオ節はすべて使い果たしてしまったので、もう同じ味のスープは作れないが、今度は同じく帰省時に日本から持ってきて使わないままでいる『乾燥昆布』で挑戦してみることを心に誓った。

だってこれからは簡単に『讃岐うどん』が手に入るのだから。

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